全般性不安障害とは
全般性不安障害は全般不安症とも言われ、「少なくとも6ヶ月以上続く過剰な不安と心配があり、不安や心配が自己コントロール困難で他のことに集中できず、日常生活に支障をきたしている状態」です。心配の内容は一つにとどまらず、家族のこと、仕事や学校のこと、人付き合いのこと、健康のこと、経済的なこと、未来のこと等、複数で多岐にわたります。多くの方が感じる通常の病的ではない不安は、基本的に不安となる原因があり、その原因が解消されることで不安も消失します。また、他に緊急課題が生じれば、後回しに出来る不安で、日常生活には支障が生じない事が多いです。しかし、全般性不安障害では、いつまでも深刻に悩み続け、更に不安が強くなったり、心配しすぎたりして、イライラや落ち着かないなどの精神症状に加えて、身体症状(筋緊張、睡眠障害、易疲労感)や集中力低下などを伴うこともあります。一生のうちに経験するのは4%から9%、女性は男性の2倍経験されるといわれ、中年期をピークとして年齢とともに有病率は下がります。
全般性不安障害の症状
身体的な症状
・筋緊張
・頭痛、頭重感
・腰痛
・倦怠感
精神的な症状
・限定されない状況で全般的で過剰な不安
・神経質で落ち着かない
・些細なことで怒りやすい
・集中力が続かない
・不眠
・リラックスできない
全般性不安障害の治療
基本的な治療としては薬物療法と精神療法があります。
薬物療法
日本では適応を満たしている内服は存在しませんが、海外での治療有効性や安全性などを参考に、主に抗うつ薬や抗精神病薬を用いて治療していきます。当院では、漢方薬治療という選択肢もありますが、不安が著しい場合にはSSRIが有効となる場合が多いです。患者さまそれぞれの症状や御希望に合わせた治療を検討しています。
精神療法
有効とされる心理療法には、認知行動療法や認知再構成法、問題解決法などがありますが、これらを得意とする専門家と正式な関わりでの治療を要します。患者さま自身の努力と日数が必要であり効果を認めるまでに数ヶ月以上かかる場合もあります。しかし、症状改善の効果は期待できる治療であり、薬物療法と合わせて、気長に継続的におこなうことが重要です。